新型コロナウイルス問題:住宅ローンが残っていても不動産売却はできる?
新型コロナウイルスの影響で収入が減り「住宅ローンが払えない」といった類の相談が関係機関に相次いでいます。
住宅ローンを扱う住宅金融支援機構によると、支払いに関する相談件数は今年2月の約20件から、3月は約200件、今月は既に約1200件と急増しているそうです。
住宅ローンは毎月必ず払わなければいけない固定費なので、収入が減ると家計を直撃します。
そこで今回は住宅ローンが払えない場合の対処方法、また住宅ローンが残っていても不動産売却ができるのか?その方法と注意点についてご説明いたします。
1.住宅ローンが払えなくなったら?
もし、住宅ローンの返済が難しい、また払えなくなりそうという時点ですぐに金融機関に相談しましょう。金融機関も消費者の相談を積極的に受けるようにしています。まずは電話をすることです。
何も相談なく住宅ローンを延滞してしまうと次のようなリスクを負います。
- 遅延損害金が発生する可能性がある。
- クレジットカードや各種ローン等の利用ができなくなる可能性がある。
- 優遇金利で借り入れている場合、適用金利が引き上げられる可能性がある。
金融機関は延滞に対して上のような措置を講じることができます。最初の1ヵ月の延滞では急にこのようなペナルティを課せられることはないかと思いますが、事前の相談があるかないかで金融機関の対応も大きく変わります。
金融機関に相談することで、返済プランの見直しや期間延長などにも応じてもらえるかもしれません。
そして先日、住宅金融支援機構が
「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」
を発表しました。
[caption id="attachment_284" align="alignnone" width="525"]
住宅支援機構より引用[/caption]
https://www.jhf.go.jp/topics/topics_20200323_im.html
画像をクリックすると詳細をご覧いただけます。
これにより今後の返済方法の変更ができるようになりました。
例えば、返済特例といって返済期間を延長する措置を行ったり、一定期間の返済額を軽減する措置、またボーナス返済が負担になっている方へはボーナス返済の見直しもできるようになる措置も用意してあります。しかし返済額を軽減、返済期間を延長するプランは最終的に総返済額は増加してしまうデメリットもありますので、その点も考慮して返済方法を変更するか検討する必要があります。
2.住宅ローンが残っていても売却できる?
まず住宅ローンが残っていても売却ができるか?というと答えは「Yes」です。
どうしても返済が難しく、住宅を手放す可能性があるなら、早めに決断するほうが良いでしょう。なぜなら新型コロナウイルスの影響による世界的な不景気により、不動産価値も今後下がる可能性が高いからです。売却を検討しているようであれば、今すぐ動いた方が、良い結果をもたらす可能性が高くなります。
自宅売却検討の男性「今の収入を考えると…」
住宅ローンを払える見通しが立たず、自宅の売却を検討している人もいます。
横浜市の一軒家に家族と住む30歳男性は、3年前、中古の住宅をおよそ3000万円で購入し、35年ローンで月々返済することにしました。
男性は携帯電話の販売店に勤務していて、給料の手取りは月におよそ30万円でした。
ローンの返済額は毎月10万円余りで、これまで返済が滞ることはありませんでしたが、新型コロナウイルスの影響で勤務先店舗の営業時間が短くなり。給料が大幅に減ったといいます。
今は家を売って賃貸の部屋に引っ越すことを考え始めています。
男性は「家族もいるし愛着のある家なので、できるかぎり手放したくないが、今の収入を考えるとかなり厳しい状況だ」話していました。
(※NHKニュースサイト引用)
売却の選択肢の一つが「任意売却」です。
住宅ローンを借りるときには、金融機関が住宅を担保にしているので、返済不能になると金融機関が強制的に「競売」で売却してローンを回収することになります。しかし「競売」は、市場で売却する価格の6~7割まで下がると言われています。そうなる前に、住宅を売却した費用でローンの返済に充てることを金融機関の了承を得て行うのが「任意売却」です。通常の売買に近い形で売却できるので、市場価格に近い額で売却できるなどのメリットがあります。
ただし、競売であれ任意売却であれ、売却した資金を充てても住宅ローンが残る場合は、それを返済していくことになります。
まずは一度、現在の所有不動産の査定価格を知っておくことも大切です。
今すぐに不動産の売却を考えていない場合でも、早めの査定をおすすめします。
2-1.任意売却のメリット
1.売却時の諸費用の支払い負担がない
任意売却では「売る」時に必要な諸費用(仲介手数料、司法書士登記費用、引っ越し費用)を、金融機関側が売買代金から差し引いてくれるので、持ち出しで費用を負担する事がありません。
2.ご近所に知られず売却できる
「競売」と違って、任意売却はあくまでも「中古不動産販売」と同じなので、ご近所に知られることがありません。
3.生活の再建がしやすい
任意売却を実施して、残った住宅ローンの返済方法は、金融機関側が生活状況を考慮して「一括返済」か「分割返済」か「0円」という柔軟な対応をしてくれますので、生活再建がしやすいです。
4.競売に比べて賃貸の審査が通り易い
持ち家を売却して新たに賃貸をして住むことになった場合、賃貸にも当然「審査」があります。審査上、登記簿謄本を確認した時に「競売による差押」の登記が記録されていると非常に印象が悪く審査が通りづらくなります。
一方、任意売却を選択すれば、最長で6か月間は「競売」手続きを待ってもらえ、その間に新しい賃貸を探して審査を進められます。しかし、既に住宅ローン滞納による金融事故情報(いわゆるブラックリスト)は記録されてしまうので、一般的な審査よりかは厳しくなります。
5.そのまま住み続けることも可能
任意売却では、金融機関と合意が得られれば、一度「親族」や「投資家」に持ち家を売却して、そこから賃貸契約を行うことで、自分達は退去せず、そのまま住み慣れたマイホームに住み続ける事も可能です。これをリースバックといいます。
2-2.任意売却のデメリット
1.信用情報機関に記録が残る
前述にもありますが、「信用情報機関」においては個人の取引状況が記録されています。住宅ローンを滞納すると、金融事故情報(いわゆるブラックリスト)は記録されてしまいます。
2.悪質業者が多い、手続きが複雑
任意売却は通常の不動産取引の資格や知識・経験のほかに、民法・民事執行法・租税法・弁護士法・登記法・個人情報保護法等の知識と、あらゆるタイプの債権者や弁護士との取引経験が必要な大変難易度の高い取引です。任意売却を依頼する際には、悪質な業者に依頼したトラブルを避けるためにもその会社の不動産会社としての知名度ではなく、任意売却に関する実績、任意売却に関する知名度、そして弁護士など、他の専門家との連携がきちんと取れているか、を基準に慎重に依頼先を選ぶ必要があります。
3.まとめ
住宅ローンの返済については、できるだけ早いうちに金融機関に相談し、場合によっては弁護士などの専門家のアドバイスも受け、返済方法を変更する、あるいは任意売却をするか検討する必要があります。
当社クラベストには京都の地域に根差した弁護士、司法書士、税理士など各種専門家士業と連携しているためワンストップでサポートができます。
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