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2026年07月17日

遺言書だけでは不十分?不動産会社だからわかる相続対策

遺言書だけでは不十分?不動産会社だからわかる相続対策

「遺言書を作ったから、相続の準備は完了」——しかし不動産を含む相続では、遺言書は「誰に残すか」を決める書類に過ぎません。「残した不動産が実際に使えるか」「相続税を払う現金があるか」「特例の期限に間に合うか」——こうした問題は遺言書では解決できません。

この記事では、不動産会社として多くの相続案件に携わってきた視点から、遺言書だけでは見落としがちな落とし穴と、不動産に特化した対策のポイントを解説します。

この記事でわかること:遺言書だけでは不十分な理由、不動産相続の落とし穴、不動産に特化した相続対策、京都特有の事情、専門家連携の重要性。
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1、遺言書だけでは不十分な理由

遺言書は相続対策の「入り口」として非常に重要です。しかし遺言書で決められるのは「誰に残すか」だけであり、それ以外の問題は解決しません。

遺言書では解決できない主な問題

  • 相続税の納税資金の確保:相続税は10ヶ月以内に現金で納付します。長男に現金がなければ相続税を払えず、実家を手放さざるを得ないことがあります
  • 不動産の「使える状態」かどうか:路地奥・再建築不可・旧耐震の建物を残しても、子どもが住めない・貸せない・売れない状況になることがあります
  • 不動産の評価・実勢価格の把握:相続税評価額と実勢価格は異なります。市場価値を把握せずに遺言書を作成すると、相続人間で不公平が生じることがあります
  • 売却までのタイムライン:空き家特例(3,000万円控除)には期限があります。相続登記・遺産分割・売却活動を終えるまでに時間がかかり、期限を過ぎてしまうリスクがあります
  • 認知症後の財産管理:遺言書は「死亡後」の財産分配を決めるものです。認知症後の財産管理・不動産の活用には対応していません

「遺言書があるから安心」は半分だけ正解

遺言書があれば相続後のトラブルは大幅に減ります。しかし遺言書は「分配の設計図」に過ぎず、不動産の状態・税金・市場価値・活用可能性まで設計するものではありません。不動産を含む相続では、遺言書に加えて不動産特化の対策が必要です。

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2、不動産相続でよくある落とし穴

落とし穴① 評価額と市場価格のギャップ

相続税評価額(路線価ベース)と実際に売れる「実勢価格」は異なります。特に観光エリア周辺の京都の物件では実勢価格が評価額を大きく上回るケースがあり、「不動産は長男、現金は次男」と遺言書に書くと実際には著しく不公平になることがあります。遺言書作成前に不動産会社の査定を受けることが不可欠です。

落とし穴② 残された子どもが活用できない

路地奥・再建築不可・旧耐震の物件を相続した場合、子どもは「住めない・貸せない・売れない」状況に直面することがあります。遺言書で「残す」と決めても活用できない状態なら、維持費だけがかかる負担資産になります。生前に「本当に残せる状態にあるか」を不動産会社とともに検証することが重要です。

落とし穴③ 空き家特例の期限を見落とす

空き家特例(3,000万円控除)には相続から3年目の年末という期限があります。遺言書で「売却すること」と指示していても、相続登記・遺産分割・売却活動が間に合わなければ数百万円の節税機会が失われます。生前から売却スケジュールを現実的に設計しておくことが必要です。

落とし穴④ 共有相続による身動き不能

「兄弟で半分ずつ」とすると不動産が共有名義になります。共有不動産は全員の合意なしに売却・改修・賃貸ができず、どちらかが行方不明・認知症になると数十年にわたって何もできなくなることがあります。不動産は共有にせず、現金化してから分配するか代償分割(一人が取得し現金補償)を検討してください。

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不動産の相続対策について、まずご相談ください

査定・評価額の確認・売却スケジュール設計まで、一緒に整理します。


3、不動産に特化した相続対策

相続前の不動産対策

  • ①不動産の査定を受け、実勢価格を把握する:実際の市場価格を把握することが対策の出発点です。遺言書の分配設計・相続税の試算・納税資金の準備がすべて精度を増します
  • ②活用できない不動産を生前に整理する:路地奥・再建築不可・旧耐震の町家は子どもに残しても負担になりやすいです。生前に売却・活用を検討し現金化しておくことで相続後の選択肢が広がります
  • ③空き家特例を使うための売却スケジュールを設計する:3年目の年末までに売却を完了するには、相続登記・遺産分割・売却活動のタイムラインを逆算して設計する必要があります。生前から「相続後すぐ動ける体制」を整えておくことが重要です
  • ④不動産を共有させない遺言書の設計をする:不動産会社・税理士・司法書士が連携して「共有にならない分配」を設計します。代償分割・換価分割(売却して現金で分配)などの方法を検討してください
  • ⑤小規模宅地等の特例を使える状態にしておく:一定条件を満たす場合、土地の評価額を最大80%減額できます。同居・申告期限まで居住・所有し続けるなどの条件を生前から整えておくことが節税につながります

4、京都の不動産相続特有の事情

① 実勢価格が評価額を大きく上回る物件が多い

インバウンド需要・希少性から実勢価格が路線価を大きく上回るケースがあります。「評価額ベースで分配したら実際は不公平だった」という問題が起きやすい地域です。遺言書作成前に必ず不動産会社の査定を受けてください。

② 町家・路地奥は売却に時間がかかる

旧耐震・路地奥物件は一般的な方法では買い手が付きにくく、投資家・隣地所有者・宿泊事業者へのアプローチが必要です。売却に半年〜1年以上かかることを前提にスケジュールを組む必要があります。生前から売却先の目処を立てておくことが重要です。

③ 複数世代にわたる未登記・共有が多い

歴史的市街地には祖父の代から名義変更がされていない物件や、共有のまま放置された物件が少なくありません。相続登記の義務化(2024年4月)により整理が急務です。登記が済んでいない不動産を遺言書に書いても、実際の手続きで行き詰まることがあります。

④ 景観規制が活用の選択肢を制限する

景観地区・歴史的市街地保全修景地区では建替え・外観変更・解体に制限があります。「建替えもリノベーション目的の買い手しかつかない」という状況になりやすく、遺言書作成前に用途地域・景観地区の指定確認が不可欠です。

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5、税理士・司法書士との連携が必要な理由

相続対策は一つの専門家だけでは完結しません。不動産・税務・法務の3者が連携することで「実行できる対策」が完成します。

専門家の役割と連携

専門家主な役割相続対策での貢献
不動産会社査定・売却・活用・市場情報実勢価格の把握、売却スケジュール設計、活用できない物件の整理
税理士相続税の試算・申告・節税対策小規模宅地等の特例・空き家特例の確認、生前贈与・生命保険の設計
司法書士登記・遺言書作成・遺産分割協議書相続登記の完了、遺言書の有効性確保、共有状態の解消

6、判断チェックリスト

遺言書に加えて確認すること

  • 不動産の実勢価格を不動産会社に査定してもらったか
  • 相続税の試算を税理士に依頼したか
  • 路地奥・再建築不可の物件を「子どもが活用できるか」検討したか
  • 不動産を共有にしない分配(代償分割・換価分割)を検討したか
  • 空き家特例の期限から逆算した売却スケジュールを設計したか
  • 小規模宅地等の特例の適用条件を確認・整備したか
  • 相続登記(名義変更)の準備ができているか
  • 任意後見・家族信託を設定しているか(認知症対策)
状況遺言書に加えて必要な対策
不動産が相続財産の大部分不動産会社の査定を受け、実勢価格ベースで分配設計を見直す
子どもが複数いる代償分割・換価分割を遺言書に明記し共有を避ける
路地奥・再建築不可物件がある生前に売却・整理を検討。子どもに負担を残さないよう判断を
相続税が発生しそう小規模宅地等の特例・生命保険・生前贈与で納税資金を準備
空き家特例の期限が迫っている今すぐ不動産会社・税理士に相談し売却スケジュールを組む
親が認知症が心配な年齢任意後見契約・家族信託を今すぐ設定し遺言書と組み合わせる

まとめ

不動産相続に必要な対策のポイント

  • 遺言書は「誰に残すか」を決めるだけ:実勢価格・活用可能性・売却スケジュール・納税資金は遺言書では解決できません
  • 不動産会社の査定が対策の出発点:実勢価格を把握することで遺言書の分配設計・相続税試算・売却スケジュールすべてが精度を増します
  • 活用できない不動産は生前に整理する:路地奥・再建築不可の物件は負担になる前に生前整理を検討してください
  • 不動産は共有にしない:「共有」にすると後の活用・売却が困難になります。代償分割・換価分割を優先してください
  • 不動産会社・税理士・司法書士の連携が不可欠:3者が連携することで遺言書だけでは見落とされる問題を総合的に解決できます
クラベストでは、税理士・司法書士と連携した不動産相続対策サポートを行っています。
「遺言書を作ったが他にやることがあるか確認したい」という段階でもご相談いただけます。

7、まずはご相談ください

「遺言書は作ったが他にやるべきことがあるか確認したい」「不動産の査定と相続対策を一緒に相談したい」「路地奥・町家の整理を相談したい」——まずは現状をお聞かせください。

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※本記事は一般的な相続対策・税制・法律制度の考え方を解説するものです。個別の税額・手続き・特例の適用可否は状況により異なります。実際の対処にあたっては必ず税理士・司法書士・不動産会社にご相談ください。

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