子どもが複数いるなら家はどう分けるべき?
お子さんが2人、3人といらっしゃる場合「家は一つしかないのに、どう分けるのか」という問題が必ず出てきます。
方法は4つあります。それぞれに向き不向きがあり選び方を間違えると後々まで引きずることになります。不動産の実務から整理します。

1、分け方は4つあります
まず全体像です。不動産の分け方には4つの型があります。
4つの分割方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 現物分割 | 土地を分筆して分ける/物件ごとに分ける |
| 代償分割 | 1人が取得し、他に金銭を渡す |
| 換価分割 | 売却して現金で分ける |
| 共有分割 | 共有名義にする |
最初に決めるのは「住む人がいるか」
どの方法を選ぶかはその家に住み続ける人がいるかどうかでほぼ決まります。住む方がいるなら現物分割か代償分割。誰も住まないなら換価分割がもっとも素直です。「とりあえず共有」は、決められないときの先送りです。
2、現物分割——分けられる土地は限られる
土地を2つに分けて、それぞれが取得する方法です。公平に見えますが、できる土地は限られます。
分けると使えなくなることがあります
分筆した土地が道路に接していなければ建物を建てられません。さらに京都市では第1種・第2種低層住居専用地域に敷地面積の最低限度が定められています。指定容積率50〜80%の地域では100㎡、100%の地域では80㎡が下限です。分けた結果この基準を下回ると、建築に支障が出ます。
京都の市街地は分筆に向きません
京都市中心部は間口が狭く奥行きのある敷地が多く、分けると形が悪くなります。路地に面した敷地では接道の条件を満たせないことも。分筆できるかどうかは、必ず事前に確認してください。図面上で割れても、現実には使えない土地が生まれます。
現物分割が向くケース
- 十分な広さがあり、分けても両方が使える
- それぞれが道路に接する形にできる
- 不動産が複数ある(物件ごとに分ける)
なお価値が完全に等しく分かれることは稀です。角地と奥の土地では評価が違いますので、差額を金銭で調整することになります。

3、代償分割——金額の決め方が難しい
お一人が家を取得し他のご兄弟に相当額を金銭で渡す方法です。住み続ける方がいる場合の基本形です。
どの評価額を使うかで揉めます
ここが実務上の難所です。不動産の評価には路線価・固定資産税評価額・実勢価格など複数の尺度があり、金額が大きく違います。取得する側は低い評価を、受け取る側は高い評価を主張しがちです。どの基準で話すかを最初に合わせておくことが肝心です。
実勢価格で考えるのが納得されやすい
路線価は実際の取引価格より低めに出ることが多く「売ればもっと高いはず」という不満が残りがちです。不動産会社の査定額(売れる見込みの価格)を基準にすると、双方が納得しやすくなります。査定を取ること自体が、話を進める材料になります。
払う資金が用意できるか
代償分割は取得する方が現金を用意できることが前提です。評価額3,000万円の家をお子さん2人で分けるなら1,500万円を自己資金で払う必要があります。これが難しければ成り立ちません。生前に生命保険などで手当てしておくという考え方は、ここに効きます。
4、換価分割——売って現金で分ける
誰も住まないのであればこれが最も公平で、揉めにくい方法です。
換価分割の利点
- 現金なので正確に分けられる
- 管理の負担が残りません
- 将来の共有の問題が生じません
売る前に相続登記が必要です
亡くなった方の名義のままでは売却できません。いったん相続人の名義に登記してから売る流れになります。代表者1人の名義にして売る方法もありますが遺産分割協議書に換価分割の趣旨を明記しておかないと、代表者から他の相続人への贈与と見られるおそれがあります。司法書士・税理士にご確認ください。
譲渡所得税と使える特例
売却益には譲渡所得税がかかります。ただし相続財産を売ったときの取得費加算の特例や相続した空き家の3,000万円特別控除が使える場合があります。後者は1981年5月31日以前に建築された家屋などの要件があり2027年12月31日までの譲渡が対象です。
売る時期にも期限があります
空き家の特例は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件です。話し合いが長引くと使えたはずの特例を失います。売る方針なら、早めに動いたほうが手元に残る額が増えます。
5、共有分割——おすすめできません
「2分の1ずつにすれば公平」——気持ちはわかります。ただこれは問題を先送りにするだけです。
次の相続で収拾がつかなくなります
共有者が亡くなるとその持分がさらにお子さんへ引き継がれます。2人の共有が4人、6人と増え連絡の取れない方が出てきます。売却には共有者全員の同意が必要ですので、一人でも反対すれば動きません。
それでも共有にする場合
どうしても結論が出ない場合の一時的な措置としてなら、あり得ます。その際はいつまでに売却する、どちらが管理する、費用はどう負担するといった取り決めを書面にしておいてください。期限を決めずに共有にするのが、いちばん避けたい選択です。

6、お子さんが3人以上なら
人数が増えると、別の論点が出てきます。
空き家の特例は控除額が下がります
相続した空き家を売る際の特別控除は相続人が3人以上の場合、1人あたり2,000万円となります(2人以下なら3,000万円)。人数が増えると使える控除が減るという仕組みです。ご兄弟が3人以上で換価分割を選ぶ場合は、税理士に税額を確認しておいてください。
話し合いの難しさも増します
3人になると2対1の構図が生まれやすくなります。全員が集まる機会も取りにくくなります。人数が多いほど、生前に方針を決めておく価値が上がります。遺言書があれば、少なくとも出発点が定まります。
現実的な組み合わせ
- 1人が住む+2人に代償金:資金の用意が前提
- 売って3等分:もっとも明快です
- 不動産が複数あれば物件ごとに:評価差は金銭で調整
7、どう決めていくか
順番があります。先に金額を知ることです。
進め方
- ①不動産の価値を把握する(査定を取る)
- ②分筆できるか確認する(接道・敷地面積)
- ③住む人がいるかを確かめる
- ④資金が用意できるかを見る(代償分割の可否)
- ⑤方法を決め、書面にする
「いくらか」がわからないと決まりません
どの方法を選ぶにしても金額が出ていなければ公平さを判断できません。代償金をいくらにするか、売ったらいくらずつになるか——すべて価値の把握が出発点です。査定は売るための手続きではなく、話し合いの土台です。
私たちができることと、できないこと
当社は不動産の売買を扱う会社です。価値の査定、分筆の可否の確認、売却のお手伝いはできます。一方で遺産分割の調整や遺言の作成、税額の計算は、弁護士・司法書士・税理士の領域です。意見が対立している場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。

まとめ
押さえておきたいポイント
- 分け方は4つ:住む人がいるかどうかでほぼ決まります
- 分筆できる土地は限られる:接道と敷地面積の下限を確認
- 代償分割は評価額の基準を先に合わせる:実勢価格が納得されやすい
- 共有は先送りです:次の相続で収拾がつかなくなります
ご家族で話し合う材料として査定をお出しします。
8、まずはご相談ください
「兄弟で分け方を相談している」「分筆できるか知りたい」——お気軽にどうぞ。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとにした一般的な解説です。敷地面積の最低限度は地域・容積率により異なり、適用除外もあります。税の特例の適用可否は個別の状況で変わり、制度は変更されることがあります。遺産分割の判断は弁護士・司法書士、税務は税理士にご相談ください。