相続した家を売ると税金はいくら?計算方法を解説
「相続した家を売ると税金がどのくらいかかるのか」——実際に動く前に把握しておきたい疑問です。相続した不動産を売却すると①相続税と②譲渡所得税(売却益に対する税金)の2つが関係します。特例を活用できるかどうかで手元に残る金額が大きく変わります。
この記事では、相続した家を売る際の税金の計算方法・使える特例・具体的な計算例を解説します。

1、相続した家を売る際の2つの税金
相続した家の売却に関係する2つの税金
| 税金 | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| ①相続税 | 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)を超えた場合に課税。売却前後に関係なく相続時に確定する | 相続開始から10ヶ月以内 |
| ②譲渡所得税 | 相続した不動産を売却した際の利益(譲渡所得)に課税。所得税+住民税の合計 | 売却した年の翌年3月15日(確定申告) |
「相続税を払ったのに、売ってもまた税金がかかるのか」
相続税と譲渡所得税は別々に課税される税金です。相続税を払った後で売っても、売却益に対してさらに譲渡所得税がかかります。ただし「取得費加算の特例」を使うと、支払った相続税の一部を譲渡所得から差し引くことができます。
2、譲渡所得税の計算方法
計算ステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| STEP1 譲渡所得を計算する | 売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用 = 譲渡所得 |
| STEP2 税率を確認する | 5年超(長期):20.315% / 5年以下(短期):39.63%(相続物件は原則「長期」扱い) |
| STEP3 税額を計算する | 譲渡所得 × 税率 = 税額(特例適用後の所得に税率をかける) |
用語の説明
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 取得費 | 被相続人が購入したときの価格+購入時の諸費用。書類がない場合は売却価格の5%を概算取得費として使用できる |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・登記費用・解体費・測量費など売却のためにかかった費用 |
取得費がわからない場合
数十年前に購入した物件は書類が残っていないことがあります。5%概算では取得費がほぼゼロとなり税負担が重くなります。購入時の売買契約書・登記関係書類・通帳記録などを探すことが節税の第一歩です。

3、使える主な特例
相続した家の売却で使える主な特例
| 特例 | 概要 | 条件 |
|---|---|---|
| 空き家特例(3,000万円特別控除) | 親が住んでいた実家を相続後に売却する際、譲渡所得から最大3,000万円を控除 | 相続から3年目年末が期限。旧耐震基準(1981年5月31日以前)または解体後の土地。賃貸に出していないこと |
| 取得費加算の特例 | 相続から3年10ヶ月以内に売却すると、支払った相続税の一部を取得費に加算できる | 相続から3年10ヶ月以内の売却。空き家特例との原則併用不可 |
| 居住用財産の3,000万円控除 | 相続人自身が住んでいた家を売る際、譲渡所得から3,000万円を控除 | 相続人自身が居住していること。空き家として相続した実家には不可 |
どちらの特例が有利か
この2つの特例は原則として同時に使えません。譲渡益が3,000万円以下なら空き家特例が有利なケースが多く、大きく超える場合は取得費加算が有利になることがあります。必ず税理士に試算を依頼してから判断してください。

4、具体的な計算例
ケースA:空き家特例を使う場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 3,500万円 |
| 取得費(購入価格) | 500万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料等) | 120万円 |
| 譲渡所得(特例前) | 3,500 ー 500 ー 120 = 2,880万円 |
| 空き家特例後 | 2,880 ー 3,000万円 = 0円(控除しきれる) |
| 譲渡所得税 | 0円(非課税) |
ケースB:取得費が不明で空き家特例も使えない場合
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 5,000万円 |
| 取得費(5%概算) | 250万円 |
| 譲渡費用 | 170万円 |
| 譲渡所得 | 5,000 ー 250 ー 170 = 4,580万円 |
| 税率(長期) | 20.315% |
| 税額 | 4,580 × 20.315% ≒ 930万円 |
5%概算を使用した結果、約930万円の税金がかかります。特例を適用できる場合と比べて負担が大きく異なります。
5、京都の不動産売却特有の注意点
① 実勢価格が高く譲渡所得が大きくなりやすい
観光エリア周辺では実勢価格が路線価を大きく上回るケースがあります。売却価格が高くなれば譲渡所得も大きくなるため、空き家特例や取得費加算の特例の活用が特に重要です。取得費の書類も念入りに探してください。
② 旧耐震の町家は空き家特例の条件確認が必要
空き家特例は「旧耐震基準(1981年5月31日以前)の建物または解体後の土地」が条件です。旧耐震の町家が多い京都では特例を使える物件が多い一方、老人ホーム入居後に賃貸に出していた期間があると適用不可になることがあります。売却前に必ず税理士に確認してください。
③ 売却に時間がかかる物件は期限に注意
路地奥・再建築不可の物件は買い手が付きにくく売却まで1〜2年以上かかることがあります。空き家特例の期限(3年目年末)と取得費加算(3年10ヶ月以内)を意識し、相続が発生したら早期に不動産会社に相談することが最重要です。
④ 相続人が複数いる場合
共有名義で売却する場合、空き家特例の3,000万円控除は相続人一人ひとりに適用されます(ただし各自が条件を満たす必要あり)。相続人全員の売却同意がない場合は売却自体ができないため、遺産分割協議を早期に完了させることが重要です。

6、判断チェックリスト
確認リスト
- 建物の建築年(旧耐震基準:1981年5月31日以前か)を確認したか
- 空き家特例の期限(相続から3年目年末)がいつかを計算したか
- 賃貸に出していた期間がないか確認したか(賃貸期間があると空き家特例が不可)
- 取得費の書類(購入時の売買契約書など)を探したか
- 取得費加算と空き家特例のどちらが有利か税理士に試算してもらったか
- 相続人全員の売却同意が得られているか
- 不動産会社に実勢価格の査定を依頼したか
| 状況 | 税金の目安 | 対処 |
|---|---|---|
| 空き家特例が使える・譲渡益3,000万円以下 | 税金がゼロまたは大幅に軽減 | 期限内に売却活動を開始。不動産会社に早めに相談 |
| 空き家特例が使える・譲渡益3,000万円超 | 超過分に20.315%の税率 | 取得費加算との比較を税理士に試算依頼 |
| 取得費加算の特例が使える(3年10ヶ月以内) | 支払った相続税を差し引いた分が節税 | 相続税申告書を入手して取得費加算を計算 |
| 取得費が不明(5%概算) | 税負担が重くなる | 購入時の書類を徹底的に探す。見つからない場合は他の特例を優先 |
| 特例が一切使えない | 譲渡所得 × 20.315%(長期の場合) | 仲介手数料等の費用を確実に差し引く。税理士に相談 |
まとめ
税金計算のポイントまとめ
- 相続税と譲渡所得税は別々にかかる:相続税を払った後で売却しても売却益に対してさらに譲渡所得税がかかります
- 空き家特例(3,000万円控除)の期限を逃さない:相続から3年目年末が期限。1日でも過ぎると適用されません
- 取得費の書類を必ず探す:取得費が高いほど譲渡所得が下がり税負担が減ります。5%概算は最後の手段です
- 空き家特例と取得費加算の特例は原則併用不可:どちらが有利かは税理士に試算を依頼してから判断してください
- 京都の観光エリアの物件は売却益が大きくなりやすい:だからこそ特例の活用が重要です。早期に税理士・不動産会社に相談してください
「税金の計算をしてほしい」「特例が使えるか確認したい」という段階でもご相談いただけます。
7、まずはご相談ください
「相続した家を売ると税金がどのくらいかかるか試算してほしい」「空き家特例が使えるか確認したい」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は一般的な税制の考え方を解説するものです。個別の税額・特例の適用可否は財産状況・相続内容・税務署の判断により異なります。実際の対処にあたっては必ず税理士・不動産会社にご相談ください。