京都で相続した不動産はいくらで売れる?売却相場の調べ方
「相続した実家は、売るといくらになるのか」——相続対策を進めるうえで、不動産の売却価格を把握することは最初の一歩です。税理士が使う相続税評価額(路線価ベース)と実際に市場で売れる実勢価格は異なります。「評価額が低い=安くしか売れない」は誤りで、その逆もあります。特に京都では観光エリアの土地・旧耐震の町家・路地奥物件など一般的な相場と大きく乖離するケースがあります。
この記事では、京都で相続した不動産の売却相場の調べ方と、相場を正確に知るために必要な情報を解説します。

1、相続税評価額と実勢価格の違い
評価額と実勢価格の違い
| 種類 | 何を示すか | 使う人 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 相続税評価額(路線価ベース) | 相続税を計算するための国税庁の評価額 | 税理士・税務署 | 路線価(時価の約70〜80%が目安)をもとに計算。実勢価格より低いことが多い |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税・都市計画税の計算のための評価額 | 市区町村 | 3年に1度更新。時価の約60〜70%が目安。相続税評価額にも参照される |
| 実勢価格(市場価格) | 実際に売買が成立する市場での価格 | 不動産会社・買い手・売り手 | 需要と供給で決まる。評価額より高い場合も低い場合もある |
税理士が示す評価額だけで判断してはいけない
税理士が使う相続税評価額は相続税を計算するための数値です。実際の売却価格とは異なります。特に京都市内の観光エリア周辺では実勢価格が相続税評価額を大きく上回るケースがあります。売却計画・遺産分割・納税計画を正確に立てるためには、必ず不動産会社に実勢価格の査定を依頼してください。

2、売却相場の調べ方(自分でできる方法)
自分でできる売却相場の調べ方
| 方法 | 特徴・留意点 | 参照方法 |
|---|---|---|
| 国土交通省 不動産取引価格情報 | 実際に成立した不動産取引の成約価格データ | 国土交通省のウェブサイトで無料公開 |
| 公示地価・基準地価 | 国や都道府県が毎年公示する土地の標準価格。路線価とは異なる | 国土交通省「土地総合情報システム」で検索可能 |
| 不動産ポータルサイトの掲載価格 | SUUMO・HOME'S・at homeなどの売出し価格(成約価格ではない)。参考値として利用 | 売出し価格は成約価格より高めに設定されていることが多い |
| 路線価(国税庁) | 相続税評価額の計算に使う価格。公示地価の約70〜80%が目安 | 国税庁「財産評価基準書」で検索可能 |
自分で調べる際の注意点
ポータルサイトの掲載価格は「売出し価格」であり実際に売れた価格(成約価格)とは異なります。売出し価格は成約価格より5〜15%程度高いことが一般的です。また路地奥・旧耐震・景観規制などの個別条件は相場から大幅に乖離することがあります。自分で調べた価格はあくまで参考値として使い、最終的には不動産会社の査定を受けることが重要です。
3、不動産会社の査定を依頼する
査定の種類
| 種類 | 内容 | 精度・費用 |
|---|---|---|
| 机上査定(簡易査定) | 住所・間取り・築年数などをもとにオンラインや電話で概算価格を提示する査定 | 精度は低め。費用無料。概算を知りたい場合に利用 |
| 訪問査定(詳細査定) | 担当者が現地を訪問し物件の状態・周辺環境を確認して価格を提示する査定 | 精度が高い。費用無料。売却活動を検討している場合はこちらを選ぶ |
複数の不動産会社に査定を依頼する
- 査定価格は不動産会社によって異なります。得意エリア・販売ネットワーク・売却戦略の違いにより10〜20%以上の差が出ることがあります
- 地元密着型の不動産会社・旧耐震物件に強い会社・投資家ルートを持つ会社に依頼することで高値売却の可能性が広がります
- 査定は無料で、売却義務もありません。「価格を知りたいだけ」という段階でも気軽に依頼できます

4、京都の不動産特有の相場の特徴
① 観光エリアの実勢価格は路線価を大きく上回る
観光地周辺の土地は、インバウンド需要・希少性・宿泊需要から実勢価格が路線価を大きく上回るケースがあります。路線価が1坪50万円の土地が実勢では1坪100万円以上で売れることもあります。「税理士から評価額はそれほど高くないと聞いた」という場合も実勢価格は別に把握する必要があります。
② 旧耐震の町家は買い手によって価格が大きく変わる
旧耐震基準(1981年5月31日以前建築)の町家は一般的な購入者には売りにくい一方で、投資家・民泊事業者・リノベーション好きな購入者には高値で売れることがあります。誰に・どのように売るかによって価格が大きく変わるため、旧耐震物件に強い不動産会社への依頼が重要です。
③ 路地奥・再建築不可は相場より安くなる
路地奥(旗竿地)・接道不適合・再建築不可の物件は住宅ローンが使えないため一般的な買い手が限られ、相場より20〜50%程度低い価格での売却になることがほとんどです。隣地所有者や投資家への売却では状況によってより高い価格が得られることがあります。事前に現実的な価格の見積もりを把握しておくことが重要です。
④ 景観規制エリアは建て替えの制約が相場に影響
景観地区・歴史的市街地保全修景地区では外観・高さ・用途に制限があります。建て替えの自由度が低い物件は相場に影響します。ただし景観規制エリアでも宿泊事業・飲食・古民家再生目的の買い手には需要があります。規制内容と買い手ターゲットを把握した不動産会社への相談が特に重要です。
⑤ 相続登記が未完了の物件は売却前に注意が必要
名義が被相続人のままでは不動産を売却できません。2024年4月から相続登記が義務化されており3年以内の登記が必要です。相続登記が未完了の物件は司法書士に依頼して登記を完了させてから売却活動を始める必要があります。登記完了まで通常2〜3ヶ月かかるため、売却スケジュールに織り込んでおいてください。

5、判断チェックリスト
確認リスト
- 不動産会社に訪問査定を依頼したか
- 複数の不動産会社に査定を依頼し価格を比較したか
- 相続税評価額と実勢価格の差を把握しているか
- 建物の建築年(旧耐震基準:1981年5月31日以前か)を確認したか
- 物件が路地奥・再建築不可でないか確認したか
- 景観地区の指定がないか確認したか
- 相続登記が完了しているか確認したか
- 空き家特例の期限(相続から3年目年末)がいつかを計算したか
| 物件の特徴 | 相場の傾向 | 今すぐやること |
|---|---|---|
| 観光エリア周辺の物件 | 実勢価格が路線価を大きく上回ることがある | 必ず不動産会社の訪問査定を受ける |
| 旧耐震の町家 | 買い手によって価格が大きく変わる | 旧耐震物件の売却実績がある不動産会社に依頼 |
| 路地奥・再建築不可物件 | 相場より20〜50%程度低くなることが多い | 隣地所有者・投資家への打診も含め早期に動く |
| 景観規制エリアの物件 | 建て替え制約が相場に影響する | 宿泊・飲食・古民家再生目的の買い手を探す不動産会社に依頼 |
| 相続登記が未完了 | 登記完了まで売却できない | 今すぐ司法書士に依頼。完了まで2〜3ヶ月 |
まとめ
売却相場を正確に把握するポイント
- 相続税評価額と実勢価格は異なる:路線価ベースの評価額と実際の売却価格は異なります。京都の観光エリア周辺では実勢価格が評価額を大きく上回ることがあります
- 自分で調べた価格はあくまで参考値:ポータルサイトの掲載価格は成約価格より高め。最終的には不動産会社の訪問査定が必要です
- 複数の不動産会社に査定を依頼する:査定価格は会社によって異なります。地元密着型・旧耐震物件に強い会社・投資家ルートを持つ会社への依頼が有利です
- 相続登記を先に完了させる:名義が被相続人のままでは売却できません。司法書士に依頼して登記を完了させてから売却活動を始めてください
「まず価格だけ知りたい」という段階からでもご相談いただけます。
6、まずはご相談ください
「相続した不動産がいくらで売れるか知りたい」「路地奥・旧耐震の町家の査定を依頼したい」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は一般的な不動産の売却相場・査定方法を解説するものです。個別の売却価格は物件の状態・市場動向・売却条件により異なります。実際の対処にあたっては必ず不動産会社にご相談ください。