京都市の「空き家税」で相続した実家はどうなる?売却を考えるタイミング
京都市は全国で初めて「非居住住宅利活用促進税」(通称:空き家税)を導入しました。相続した実家を空き家のまま持ち続けると、従来の固定資産税に加えて新たな税負担が発生します。
この記事では、空き家税の仕組み・相続した実家への影響・売却を考えるべきタイミングを解説します。制度の詳細は変更される可能性があるため最終的には京都市の窓口でご確認ください。

1、空き家税(非居住住宅利活用促進税)とは
京都市が導入した居住実態のない住宅(非居住住宅)に対して課税される市独自の税です。住宅の流通を促し市内の住宅不足を緩和することが目的とされています。
制度の基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 京都市内の居住実態のない住宅(別荘・セカンドハウス・空き家など) |
| 納税義務者 | その住宅の所有者 |
| 課税方法 | 固定資産税とは別に家屋と土地の価値に応じて課税される |
| 目的 | 空き家の活用・流通を促進し市内の住宅供給を増やすこと |
※税率・課税標準・非課税の範囲などの具体的な内容は京都市の公式情報でご確認ください。
保有し続けるコストが上がった
これまでは「使わないがとりあえず持っておく」という選択に大きなコストはかかりませんでした。しかし空き家税の導入により京都市内で空き家を保有し続けること自体に毎年の税負担が発生する構造になりました。「決めずに持ち続ける」ことの経済的な不利が明確になったといえます。
2、相続した実家への影響
状況別の影響
| 状況 | 影響 |
|---|---|
| 誰も住まず空き家のまま保有 | 固定資産税に加えて空き家税の課税対象になる可能性がある |
| 年に数回だけ使用(セカンドハウス) | 居住実態がないと判断されれば課税対象になり得る |
| 賃貸に出して入居者がいる | 居住実態があるため課税対象外。ただし空き家特例が使えなくなる |
「決めない」コストが積み上がる構造
相続した実家を空き家のまま保有すると固定資産税・管理費・保険料に加えて空き家税が毎年発生します。さらに建物は劣化し続け、空き家特例(3,000万円控除)の期限も近づきます。判断を先送りするほど経済的な不利が積み重なる構造です。

3、課税を避けるための選択肢
課税を避ける方法
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①売却する | 所有権を手放せば課税対象から外れる。維持コストも解消される | 空き家特例が使える期限内に売れば節税効果も大きい |
| ②賃貸に出す | 入居者がいれば居住実態があるため課税対象外になる | 賃貸に出すと空き家特例が使えなくなる。旧耐震物件は慎重な判断が必要 |
| ③自分または家族が住む | 居住実態があれば課税対象外 | 実際に住む必要がある。年数回の利用では認められない可能性が高い |
| ④解体する | 住宅がなくなれば課税対象から外れる | 解体費用がかかり更地にすると住宅用地特例が外れる。再建築不可物件は解体してはいけない |
賃貸に出す前に空き家特例との関係を確認
空き家税を避けるために賃貸に出すと空き家特例(3,000万円特別控除)が使えなくなります。旧耐震の実家なら控除で数百万円の節税ができる可能性があるため、賃貸に出す前に必ず税理士に「売却と賃貸のどちらが有利か」を試算してもらってください。

4、売却を考えるタイミング
売却を検討するタイミング
| タイミング | 理由 |
|---|---|
| 相続が発生した直後 | 空き家特例の期限(3年目年末)から逆算すると早く動くほど選択肢が広い。売却には6〜12ヶ月かかる |
| 誰も住む予定がないと確定したとき | 維持コストが発生し続けるだけ。早期売却が経済的に有利 |
| 空き家税の課税通知が届いたとき | 今後も毎年課税が続く。保有コストと売却の手取りを比較して判断する |
| 空き家特例の期限まで1年を切ったとき | 今すぐ始めないと期限内の引き渡しが間に合わない可能性が高い |
保有と売却を数字で比較する
判断の前に「売却時の手取り(売却価格 ー 税金 ー 仲介手数料)」と「保有し続けた場合の年間コスト × 想定保有年数」を比較してみてください。空き家税の導入で保有コストが上がったため、多くのケースで早期売却の方が総合的な手残りが多くなります。
5、空き家特例との関係
空き家税と空き家特例の違い
| 項目 | 空き家税 | 空き家特例(3,000万円控除) |
|---|---|---|
| タイミング | 保有している間、毎年 | 売却時に一度だけ |
| 影響 | 保有コストが上がる | 譲渡所得税が最大3,000万円分軽減される |
| 回避・活用 | 売却・賃貸・居住・解体で課税対象外に | 相続から3年目年末までに旧耐震の家屋を売却 |
2つの制度が早期売却を後押しする
空き家税は保有コストを上げ、空き家特例は期限内に売却した場合の税負担を下げます。この2つの制度は「相続後、早めに売却する」ことを経済的に有利にする方向で作用します。実家に住む予定がないなら早期の判断が最も合理的です。
京都特有の注意点
① 路地奥・町家は売却に時間がかかる
路地奥・接道不適合の物件、旧耐震の町家は買い手が限られ売却まで1〜2年以上かかることがあります。その間も空き家税・固定資産税は発生し続けます。売却に時間がかかる物件ほど早期に動き出す必要があります。
② 旧耐震の町家は空き家特例が使える可能性
1981年5月31日以前建築の町家は空き家特例(3,000万円控除)の対象になる可能性があります。空き家税を払い続けるより特例の期限内に売却する方が経済的に有利になるケースが多くあります。まず建築時期を確認してください。
③ 遠方在住だと管理も課税対応も負担
遠方にお住まいの場合、京都の空き家を管理し続けることは物理的にも精神的にも負担です。空き家税により経済的な負担も加わることを踏まえ早期の方針決定をおすすめします。売却手続きは遠方からでも対応可能です。

6、判断チェックリスト
確認リスト
- 空き家税の制度内容を市の公式情報で確認したか
- 年間の保有コスト(固定資産税+空き家税+管理費)を試算したか
- 不動産会社に実勢価格の査定を依頼したか
- 建物の建築時期(1981年5月31日以前か)を確認したか
- 空き家特例の期限(相続から3年目年末)を計算したか
- 賃貸の前に空き家特例との関係を税理士に確認したか
- 相続登記(名義変更)が完了しているか
| 状況 | 推奨する対応 |
|---|---|
| 誰も住む予定がない・旧耐震 | 空き家特例の期限内に売却。空き家税も同時に解消できる |
| 誰も住む予定がない・新耐震 | 売却または賃貸。空き家特例は使えないため賃貸も選択肢 |
| 賃貸需要があり収益が見込める | 賃貸を検討。空き家特例との比較を税理士に依頼する |
| 路地奥・再建築不可 | 早期に売却活動を開始。解体は避け専門ルートを持つ会社に依頼 |
| まだ決められない | まず査定と保有コストの試算を。数字で比較すると判断しやすい |
まとめ
ポイントまとめ
- 空き家を保有し続けるコストが明確に上がった:固定資産税に加えて空き家税が毎年発生します。「とりあえず持っておく」の不利が明確になりました
- 課税を避ける方法は売却・賃貸・居住・解体の4つ:それぞれメリット・デメリットがあり空き家特例との関係も踏まえた判断が必要です
- 賃貸に出すと空き家特例が使えなくなる:旧耐震の実家では数百万円の差が出ることもあります。賃貸の前に必ず税理士に試算を依頼してください
- 空き家税と空き家特例は「早期売却」を後押しする:住む予定がないなら相続後できるだけ早く判断することが最も合理的です
「保有と売却でどちらが得か知りたい」という段階からでもご相談ください。
7、まずはご相談ください
「空き家税がかかるか確認したい」「保有コストと売却を比較したい」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は制度の一般的な考え方を解説するものです。空き家税の詳細は変更される可能性があります。実際の課税判断は必ず京都市の公式情報・窓口でご確認ください。売却・税務については不動産会社・税理士にご相談ください。