夫婦共有名義の家は離婚時に売却できる?
「共有名義の家を離婚のときに売れるのか」——結論から言うと売却は可能ですが共有者全員の同意が必要です。片方が反対すれば原則として売ることはできません。住宅ローンが残っている場合は金融機関との調整も必要になります。
この記事では、共有名義の家を売却する条件・同意が得られない場合の対処法・進め方を整理します。

1、共有名義の家を売却する条件
共有不動産で必要な同意
| 行為 | 必要な同意 |
|---|---|
| 不動産全体の売却 | 共有者全員の同意が必要 |
| 大規模なリフォーム・建て替え | 共有者全員の同意が必要 |
| 賃貸に出す(短期) | 持分の過半数の同意が必要 |
| 自分の持分だけを売却 | 単独でできる(ただし買い手が限られる) |
全体を売るには全員の同意が必要
共有名義の不動産を第三者に売却するには持分の割合にかかわらず共有者全員の同意が必要です。たとえ持分が9対1でも1割しか持たない側が反対すれば売却できません。「自分の持分が多いから売れるはず」という思い込みは通用しないため、まず相手の意向を確認することが出発点になります。
2、相手の同意が得られない場合
同意が得られない場合の選択肢
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①持分を相手に買い取ってもらう | 自分の持分を相手に売り単独名義にしてもらう | 相手に資金が必要。ローンがあれば借り換え審査も |
| ②相手の持分を買い取る | 相手の持分を買い取り自分の単独名義にする | 自分に資金が必要。持分の評価額で揉めることも |
| ③自分の持分だけを売却 | 持分のみを第三者に売却する。単独で可能 | 買い手が限られ価格は大幅に低くなる。最終手段 |
| ④共有物分割請求(訴訟) | 裁判所に共有関係の解消を求める。競売になることも | 時間と費用がかかる。競売では市場価格より安くなる |
まずは査定額の共有から始める
同意が得られない理由の多くは「いくらで売れるかわからない」「安く売られるのではないか」という不安にあります。不動産会社の査定書という客観的な資料を双方が共有するだけで話が前に進むことは少なくありません。感情的な対立になる前にまず数字を揃えてみてください。

3、共有のまま放置するリスク
放置すると起きること
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 売却・活用ができない | 元配偶者の同意が必要。連絡が取れないと何もできない |
| 相続で権利者が増える | どちらかが亡くなれば相続人(再婚相手・子など)が共有者になる |
| 持分を勝手に売られる | 持分のみの売却は単独でできる。第三者が共有者になる可能性も |
最も避けたいのは相続で共有者が増えること
共有名義のまま離婚し、その後どちらかが亡くなるとその相続人が新たな共有者になります。再婚していれば再婚相手や新しい子どもが共有者になることもあり権利関係が一気に複雑化します。離婚のタイミングで共有関係を解消しておくことが将来の紛争を防ぐ最も確実な方法です。

4、住宅ローンが残っている場合
ローン形態による違い
| ローンの形態 | 内容と注意点 |
|---|---|
| ペアローン | 夫婦それぞれが債務者。単独名義にするには借り換えが必要 |
| 連帯債務型 | 2人とも債務者。離婚しても両方に返済義務が残る |
| 連帯保証型 | 一方が債務者、他方が保証人。保証人の地位は離婚では外れない |
完済できるかが判断の分かれ目
売却価格がローン残債を上回る(アンダーローン)なら売却代金で完済し残額を分けられます。下回る(オーバーローン)場合は差額を自己資金で埋めるか金融機関と協議して任意売却を検討する必要があります。まず不動産会社の査定と残高証明書を揃えてください。
5、進め方の手順
進め方の手順
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①登記事項証明書を取得 | 法務局で名義・持分割合・抵当権を確認する |
| ②ローン残債を確認 | 金融機関から残高証明書を取り寄せる。ペアローンなら双方分 |
| ③不動産の査定を受ける | 複数社に依頼し実勢価格を把握。査定書は話し合いの材料になる |
| ④売却方針を協議する | 全体売却・持分買取・単独名義化のどれにするか決める |
| ⑤書面で取り決める | 離婚協議書(公正証書が望ましい)に売却方法・分配を明記する |
離婚前に売るか離婚後に売るか
売却のタイミングは離婚前・離婚後のどちらも可能です。離婚前なら双方の協力を得やすいですが、離婚後は連絡が取りにくくなるリスクがあります。一方で財産分与として名義を移す場合は離婚後の方が税務上有利になるケースもあります。税理士・弁護士に確認したうえで判断してください。
6、京都の不動産特有のポイント
① 観光エリアは持分の評価額も大きい
観光エリア周辺は実勢価格が高いため持分の買取価格も高額になります。「相手の持分を買い取って住み続けたい」と考えても資金が用意できないケースがあります。まず査定で正確な金額を把握してから方針を決めてください。
② 路地奥・再建築不可は持分売却が困難
路地奥・接道不適合の物件は単体でも買い手が限られます。その持分だけとなると買い手はほぼ見つかりません。「持分だけ売る」という選択肢が事実上使えないため、全体売却か持分買取のどちらかで合意する必要があります。
③ 町家は売却まで時間がかかる
京町家・古民家はリノベ目的の購入者など特殊な買い手が対象となるため売却まで半年〜1年以上かかることがあります。離婚の手続きと並行する場合は売却期間の見通しを不動産会社に確認しておいてください。
④ 空き家にすると空き家税の対象に
共有名義のまま誰も住まない状態が続くと、2026年導入の京都市の空き家税の課税対象になる可能性があります。固定資産税に上乗せで負担が発生し、その負担割合をめぐって新たな対立が生まれることもあります。早期の解消が経済的にも有利です。

判断チェックリスト
確認リスト
- 登記事項証明書で名義・持分割合を確認したか
- 住宅ローンの形態(ペアローン・連帯債務・連帯保証)を確認したか
- 金融機関から残高証明書を取り寄せたか
- 不動産会社に査定を依頼し実勢価格を把握したか
- 相手の売却意向を確認したか
| 状況 | 推奨する対応 |
|---|---|
| 双方が売却に同意している | 全体を売却して代金を持分に応じて分ける |
| 片方が住み続けたい・資金がある | 相手の持分を買い取り単独名義に。ローンは借り換えが必要 |
| 片方が反対している | まず査定書を共有し話し合う。進まなければ弁護士に相談 |
| オーバーローン | 金融機関に相談。任意売却や差額補填の方法を検討する |
| 連絡が取れない・話し合えない | 弁護士に相談。共有物分割請求は時間と費用がかかる |
まとめ
ポイントまとめ
- 全体を売るには共有者全員の同意が必要:持分の割合にかかわらず片方が反対すれば売却できません
- まず査定額を双方で共有する:同意が得られない理由の多くは「いくらで売れるかわからない」不安です。数字が話を前に進めます
- 共有のまま放置するのが最悪の選択:相続で権利者が増え持分を勝手に売られるリスクもあります。離婚時に解消しておくことが重要です
- ローンの形態と残債を必ず確認する:ペアローン・連帯保証は離婚しても自動では解消されません。金融機関との手続きが必要です
「まず査定額を知りたい」という段階からご相談いただけます。秘密は厳守いたします。
7、まずはご相談ください
「共有名義の家を売却したい」「相手の同意が得られず困っている」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は一般的な不動産・共有関係の考え方を解説するものです。財産分与・法的効力・ローンの扱いは個別の事情により異なります。法律は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士にご相談ください。