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2026年06月11日

相続したアパート経営を続けるべきか売却するべきか|判断基準と京都市の事例で徹底解説

相続したアパート経営を続けるべきか売却するべきか|判断基準と京都市の事例で徹底解説

親からアパートを相続した。家賃収入は入ってくるが、管理会社とのやり取り・修繕の判断・確定申告・固定資産税——やることが思ったより多く、「自分がこのまま大家を続けていいのか」と迷っている方は少なくありません。

一方で「親が苦労して建てたアパートを売るのは申し訳ない」「家賃収入がなくなるのは不安」という感情的な理由で、経営継続を選んでいるケースもあります。

感情ではなく数字と条件で判断することが、相続したアパートの最善策を見つける唯一の方法です。この記事では、アパート経営継続と売却のどちらが有利かを判断するための具体的な基準をお伝えします。

この記事でわかること:アパート経営継続と売却を判断する具体的な指標、売却した場合の税金と手残りの考え方、経営継続が有利なケース・売却が有利なケース、京都市内のアパートならではの注意点。
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1、まず現状を正確に把握する

「続けるべきか・売るべきか」の判断は、現状の数字を正確に把握することから始まります。感覚ではなく、以下の数字を実際に出してみてください。

確認すべき7つの数字

  • ① 年間家賃収入(満室時):全戸が埋まった場合の年間収入
  • ② 現在の入居率:空室がある場合、実際の収入は満室時より低い
  • ③ 年間の経費合計:管理費・固定資産税・火災保険・修繕費の実績平均
  • ④ 実質利回り:(年間家賃収入 ー 年間経費)÷ 現在の物件市場価格 × 100
  • ⑤ 建物の築年数と残存耐用年数:木造22年・軽量鉄骨19年・鉄骨造34年・RC造47年が法定耐用年数
  • ⑥ 直近5年以内の修繕費実績と今後の修繕見込み:給排水・外壁・屋根・設備の状態
  • ⑦ ローン残債の有無:相続したアパートにローンが残っている場合、売却価格との差に注意

これらを整理するだけで、「経営を続けることが本当に得なのか」が見えてきます。多くの方が「家賃収入がある=プラス」と思っていますが、経費・修繕費・税金を差し引いた実質的な手残りがどれほどかを把握していないケースが多くあります。

「表面利回り」だけ見ていると危ない

表面利回り(年間家賃÷物件価格)は経費を無視した数字です。管理費・固定資産税・修繕費・空室損失を差し引いた実質利回りが3〜4%を下回っている場合、売却して得た資金を別の形で運用した方が有利になる可能性があります。まず実質利回りを計算することが判断の出発点です。

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2、経営継続が有利なケース

すべてのケースで売却が正解というわけではありません。以下の条件が揃っている場合は、経営継続が有利な可能性があります。

経営継続が有利な条件

  • 実質利回りが5%以上安定している:経費・空室・修繕を加味した上で年間収益が十分に出ている
  • 築年数が浅く、大規模修繕までの期間が長い:今後10年程度は大きなコスト増が見込まれない
  • 立地需要が強く、空室リスクが低い:駅近・大学周辺・人口増エリアなど、入居付けに困らない立地
  • 管理会社に任せており、手間がほとんどかかっていない:自分の負担が実質的にほぼない状態
  • 相続税対策として保有継続が有効:貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例(50%減額)が使えるなど、次の相続にも影響する場合
  • 取得費加算の特例期限が既に過ぎている:相続から3年を過ぎており、今売っても節税メリットが小さい

「安定した収益物件」は資産として持ち続ける価値がある

立地が良く・管理状態が良く・入居率が高い収益物件は、インフレへのヘッジとしても機能します。現金や預金に比べて、不動産は実物資産として価値が維持されやすい特性があります。経営継続を選ぶ場合でも、5年に一度は「今売ったらいくらになるか」を不動産会社に確認し、保有コストと比較する習慣を持つことをおすすめします。

3、売却が有利なケース

次のような状況が重なっている場合は、経営継続より売却が有利になるケースが多いです。

売却を真剣に検討すべきサイン

  • 実質利回りが3〜4%以下:経費・空室・修繕を差し引くと収益がほとんど残らない
  • 築25〜30年超で大規模修繕が近い:外壁・屋根・給排水・設備の更新に数百万〜1,000万円以上の出費が見込まれる
  • 空室が慢性化している:入居付けのために家賃を下げてもなかなか埋まらない状態が続いている
  • 取得費加算の特例期限が近い(相続から2〜3年以内):相続税を支払った場合、今売ることで大幅な節税になる
  • 管理の手間・精神的な負担が大きい:入居者トラブル・修繕対応・確定申告など、本業や生活に支障が出ている
  • 将来の相続で複雑化する:自分が亡くなったときにさらに難しい相続問題を次世代に引き継ぐことになる
  • ローン残債と売却価格の差が縮まってきた:売却でローンを完済してなお手残りが出る状態になってきた

特に「実質利回りの低下」「大規模修繕が近い」「取得費加算の特例期限」の3つが重なる場合は、売却のタイミングとして非常に有力です。この3つが揃った状態で保有継続を選ぶと、時間が経つほど不利になっていくケースが多くあります。

4、売却した場合の税金と手残りの考え方

「売ったらいくら手元に残るか」を正確に把握するには、税金の計算が不可欠です。

譲渡所得税の計算(相続したアパートの場合)

計算式

譲渡所得 = 売却価格 ー (取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:被相続人が購入した価格を引き継ぐ。ただし建物は減価償却累計額を差し引いた未償却残高が取得費となるため、長年保有されていた建物は取得費が非常に低くなっている場合がある
  • 譲渡費用:仲介手数料・測量費・解体費など売却にかかった費用
  • 税率:所有期間5年超(長期)で20.315%。被相続人の取得日から計算するため、親が長年保有していればほぼ長期に該当

取得費加算の特例で節税できる場合

相続税を支払っている場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」があります。これにより譲渡所得を大幅に圧縮できます。適用条件は相続税の申告期限から3年以内の売却です。

取得費加算特例の効果イメージ(あくまでもイメージです)

売却価格6,000万円・取得費(未償却残高)500万円・譲渡費用200万円の場合:
特例なし:譲渡所得5,300万円 × 20.315% = 約1,077万円の税金
特例あり(相続税のうち加算できる額が800万円の場合):譲渡所得4,500万円 × 20.315% = 約914万円の税金
→ 約163万円の節税。加算できる相続税額が大きいほど効果は拡大します。

3000万円特別控除・空き家特例は使えない

アパートは居住用財産ではないため、自宅売却で使える3000万円特別控除は適用されません。また、空き家特例も親が居住していたことが要件のため、賃貸に出していたアパートには原則使えません。収益物件の売却は、これらの特例が使えない前提で税額を計算する必要があります。

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5、「継続vs売却」判断チェックリスト

以下のチェックリストで、現在の状況を整理してみてください。

確認項目経営継続が有利売却が有利
実質利回り 5%以上安定 3〜4%以下・低下傾向
入居率 90%以上・安定 80%以下・下落傾向
築年数・修繕 築20年未満・修繕余裕あり 築25年超・大規模修繕が近い
取得費加算特例 期限切れ(相続から3年超) 期限内(相続から3年以内)
管理の手間 管理会社任せで負担ほぼなし トラブル・手間が多く精神的負担あり
立地・需要 需要強・競合少・人口安定エリア 需要弱・競合多・人口減少エリア
次の相続 相続対策として活用できる 次世代の負担になる・分割困難

「売却が有利」の列に複数当てはまる場合は、早めに不動産会社と税理士に相談することをおすすめします。特に取得費加算の特例期限が近い場合は、相談開始が遅れるほど選択肢が狭まります。

「続けるべきか・売るべきか」迷っている方へ

現状の数字を整理して、どちらが有利かを一緒に確認します。
まずはクラベストにご相談ください。税理士との連携もサポートします。

6、京都市内のアパートならではの判断ポイント

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① 学生向けアパートの需要変化

京都市内には多くの大学があり、学生向けワンルームアパートの需要が高いエリアが存在します。ただし少子化の進行・一部大学のキャンパス移転・学生の生活スタイルの変化により、特定エリアでは学生需要が構造的に低下しているケースがあります。10〜15年後の入居率見通しを考慮した上で、継続か売却かを判断してください。

② 木造アパートの耐用年数問題

京都市内の相続アパートには木造が多く、法定耐用年数(22年)を超えている物件も少なくありません。耐用年数超の木造建物は減価償却ができず、税務上のメリットが薄れます。また、築古木造は買い手が限られ売却価格が土地値に近くなります。売るなら建物に価値が残っているうちの方が有利です。

③ 景観条例・建築規制と建替えの制限

京都市内では景観条例により建物の高さ・外観・用途に規制があるエリアが多くあります。老朽化したアパートを建て替えようとしても、現行の規制では同規模の建物が建てられないケースがあります。建替えが制限される場合、老朽化しても身動きが取れなくなる前に売却を検討することが重要です。

④ 1棟売却か土地として売るかの選択

築古アパートの場合、アパートごと(収益物件として)売却するか、建物を解体して更地として売却するかで売却価格が変わることがあります。収益物件として売れば買い手は投資家限定ですが、更地にすれば実需(マイホーム用)の買い手にも訴求できます。どちらが有利かは立地・築年数・入居率・解体費用を比較して判断します。

⑤ 貸付事業用宅地等の特例との関係

アパートが建つ土地は「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例(50%減額・200㎡まで)の対象になる場合があります。この特例を次の相続でも活用したい場合は、売却によって土地を手放すことの相続税への影響も考慮が必要です。次世代への資産承継まで視野に入れた判断が重要です。

7、売却を選んだ場合の進め方

アパート売却の進め方STEP

  • STEP1 税理士に税額試算を依頼する:取得費(未償却残高)・取得費加算特例の適用可否・概算の譲渡所得税額を確認します。「売っていくら手元に残るか」を把握してから動き出します。
  • STEP2 収益物件専門の不動産会社に査定を依頼する:アパートの査定は収益還元法(NOI÷キャップレート)が基本です。この計算ができる会社を選ぶことが重要で、自宅売却と同じ感覚で査定を依頼すると精度の低い価格が出ることがあります。
  • STEP3 売却方法を決める:収益物件として1棟売却・区分分割売却・解体して更地売却の中から、手残り額・売却期間・テナントへの影響を比較して選びます。
  • STEP4 入居者への対応を整理する:売却後も賃貸借契約は買主に引き継がれます(オーナーチェンジ)。入居者への告知タイミング・内覧対応の方針を事前に整理しておきます。
  • STEP5 売却・確定申告:売却年の翌年2〜3月に確定申告を行います。取得費加算特例の申請・譲渡所得の申告を漏れなく行うために税理士への依頼をおすすめします。
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まとめ

相続したアパートの判断まとめ

  • 感情ではなく数字で判断する:実質利回り・修繕見込み・入居率・取得費加算特例の期限を数字で把握することが判断の出発点です。
  • 「継続=安全」ではない:実質利回りの低下・修繕費増大・空室増加が重なると、保有コストが収益を上回る「逆ざや」状態になります。
  • 取得費加算特例の期限を見逃さない:相続税を払った方は、相続から3年以内の売却で節税できます。この期限が最も重要な時間軸です。
  • 売るなら建物に価値があるうちに:特に木造アパートは築年数が経つほど収益物件としての価値が下がります。売却を検討するなら、買い手がつきやすい状態のうちに動くことが重要です。
クラベストでは、京都市内の相続アパートの経営継続・売却の両面からご相談を受け付けています。
税理士との連携・収益還元法による査定・売却戦略の立案まで、一緒に進めることができます。「迷っている」段階からご相談ください。

8、まずはご相談ください

「続けるべきか売るべきか判断できない」「実質的にいくら残っているか計算したい」「取得費加算の特例期限が近づいている」「修繕費がかさんで収益が出ていない」「管理の手間が大きくなってきた」

まずは現状をお聞かせください。税理士・司法書士との連携もサポートします。

※本記事は一般的な不動産経営・売却・税制の考え方を解説するものです。個別の税額計算・経営判断は物件の状況・相続の経緯・市況等により異なります。実際の売却・申告にあたっては必ず税理士・不動産会社等の専門家にご相談ください。

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