相続税がかかる人・かからない人の違い
「うちには相続税がかかるのか、かからないのか」——日本では相続税の申告が必要なのは相続全体の約9〜10%で、大半のケースでは相続税はかかりません。しかし不動産を持っている場合・京都市内に土地を持っている場合は、この割合が大きく跳ね上がります。
この記事では、基礎控除の計算からかかりやすいケース・主な特例・京都特有の注意点を整理します。

1、相続税がかかるかどうかの判断基準
相続税は遺産の総額が基礎控除を超えた場合のみ課税される制度です。基礎控除以下なら相続税はゼロです。
課税価格の内訳
| 課税対象(プラスの財産) | 控除・非課税 |
|---|---|
| 不動産(土地・建物)の相続税評価額 | 借入金・未払い税金・葬儀費用 |
| 預貯金・有価証券・現金 | 生命保険・死亡退職金の非課税枠(500万円×相続人数) |
| 生命保険金・死亡退職金(非課税超過分) | 基礎控除額(3,000万円+600万円×相続人数) |
| 相続前7年以内の贈与財産(2024年〜) | — |
2、基礎控除の計算方法
基礎控除の計算式と目安
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 相続人数 | 基礎控除額 | 代表的な家族構成 |
|---|---|---|
| 1人 | 3,600万円 | 配偶者のみ、または子のみ1人 |
| 2人 | 4,200万円 | 配偶者+子1人、または子2人 |
| 3人 | 4,800万円 | 配偶者+子2人 |
| 4人 | 5,400万円 | 配偶者+子3人 |
法定相続人のカウント方法(注意点)
- 相続放棄した人も数える:放棄をしても基礎控除の計算上は法定相続人として数えます
- 養子は一定数まで含める:実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで
- 代襲相続人も含める:子が先に亡くなっている場合、孫が代わりに相続人となり人数に含まれます
「相続税評価額」と「実勢価格」は別物
不動産の相続税評価額は路線価をもとに計算します。実際に売れる市場価格(実勢価格)とは異なるため、「相続税評価額が低い=相続税がかからない」という思い込みは危険です。不動産を含む場合は必ず税理士に試算を依頼してください。

3、相続税がかかりやすいケース・かかりにくいケース
相続税がかかりやすいケース
| 状況 | なぜかかりやすいか |
|---|---|
| 都市部・観光地近くに不動産を持っている | 路線価が高く土地の評価額が大きくなる |
| 相続人が少ない(1〜2人) | 基礎控除が小さくなり課税される財産が増える |
| 配偶者がすでに亡くなっている | 配偶者の税額軽減が使えない |
| 金融資産(預貯金・株式)が多い | 評価が下がる特例が少なくそのまま課税対象になる |
| 生命保険が少ない(または入っていない) | 非課税枠(500万円×相続人数)を活用できない |
相続税がかかりにくいケース
| 状況 | なぜかかりにくいか |
|---|---|
| 財産が基礎控除以下(例:子2人なら4,200万円以下) | 課税対象外 |
| 配偶者が多く相続する | 配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)が使える |
| 子が同居して実家を相続する | 小規模宅地等の特例(最大80%減額)が適用できる |
| 生命保険を活用している | 500万円×相続人数の非課税枠が使える |
| 借入金・ローンが多い | 負債が財産から控除され課税対象が減る |

4、相続税を減らす主な特例・控除
主な特例・控除の一覧
| 特例・控除 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 居住用土地を一定条件で相続すると評価額を最大80%(事業用は50%)減額。同居・申告期限まで所有継続などの条件あり |
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円または法定相続分の多い方まで非課税。配偶者が先に亡くなっていると使えない。二次相続の税負担増に注意 |
| 生命保険の非課税枠 | 「500万円×法定相続人数」は非課税。受取人を相続人に指定する必要あり |
| 相次相続控除 | 10年以内に2回相続が発生した場合、前回の相続税の一部を控除(10年超は対象外) |
| 葬儀費用・債務控除 | 葬儀費用・借入金・未払い税金を遺産総額から控除できる(領収書を保管する) |
二次相続への注意
配偶者の税額軽減は強力な特例ですが、配偶者が財産を多く相続すると「二次相続(配偶者死亡後の相続)」のときに子どもの相続税が大幅に増えることがあります。子どもへの分配とのバランスを税理士と一緒に設計することが重要です。
5、京都の不動産と相続税の関係
① 路線価が高く基礎控除を超えやすい
観光地周辺は全国的に見ても路線価が高い地域です。自宅1軒でも基礎控除(配偶者+子2人なら4,800万円)を超えて課税される可能性があります。「土地1つしか持っていないから大丈夫」とは言えないのが京都特有の事情です。
② 実勢価格が路線価を上回る物件がある
観光エリアの物件は実勢価格が路線価を大きく上回るケースがあります。相続税は路線価ベースで計算しますが、遺産分割の公平な設計のために不動産会社の査定(実勢価格)の把握も必要です。
③ 小規模宅地等の特例が節税の鍵
路線価の高い京都市内の土地は小規模宅地等の特例(最大80%減額)が特に大きな節税効果を発揮します。たとえば5,000万円の土地評価額が1,000万円(80%減)になれば課税対象が大幅に下がります。生前から同居・居住継続の条件を整えておくことが重要です。
④ 路地奥・再建築不可の評価は下がる可能性も
路地奥や接道不適合の土地は「不整形地補正」「無道路地補正」などで評価額が下がる場合があります。ただしこれらの補正は複雑で税理士によって判断が異なることがあります。路地奥物件を相続する場合は不動産評価に詳しい税理士への相談が特に重要です。

6、判断チェックリスト
確認リスト
- 法定相続人が何人かを把握しているか
- 税理士に遺産の総額を試算してもらい基礎控除を超えるか確認したか
- 不動産の相続税評価額(路線価ベース)を把握しているか
- 小規模宅地等の特例の適用条件(同居・申告期限まで所有継続など)を確認したか
- 配偶者の税額軽減が使えるか(配偶者が存命か)
- 生命保険の非課税枠(500万円×相続人数)を活用しているか
- 借入金・葬儀費用など控除できる負債を把握しているか
- 二次相続のシミュレーションを依頼したか
| 状況 | 見通し | 対処 |
|---|---|---|
| 財産が基礎控除以下 | なし | 余分な対策は不要。遺言書だけ作成しておく |
| 基礎控除を少し超える | 少額の発生可能性 | 小規模宅地等の特例・生命保険で相殺できる可能性あり |
| 不動産が多く財産が大きい | 発生しやすい | 税理士に試算を依頼。特例・生命保険・暦年贈与を組み合わせる |
| 京都市内に土地がある | 路線価が高く課税になりやすい | 相続税評価額を把握し小規模宅地等の特例の適用可否を確認 |
| 相続人が少ない(1〜2人) | 基礎控除が小さく課税になりやすい | 生命保険・暦年贈与で財産を計画的に減らす |
まとめ
まとめ:相続税がかかる人・かからない人
- 基礎控除(3,000万円+600万円×相続人数)を超えると課税される:配偶者+子2人なら4,800万円が目安。超える場合は対策が必要です
- 不動産を持つ人は要注意:路線価の高い土地1つで基礎控除を超えることがあります。京都市内の観光エリア周辺は特に路線価が高く課税になりやすいです
- 小規模宅地等の特例が最も効果的:自宅の土地評価額を最大80%減額できます。生前から条件を整えておくことが重要です
- 「大丈夫だろう」という思い込みが危険:試算なしに「うちは大丈夫」と決めつけることが最大のリスクです。まず税理士に相談してください
- 二次相続を見据えた設計が必要:配偶者の税額軽減を最大限に使っても、二次相続で子どもの税負担が急増することがあります
「かかるかどうかだけ確認したい」という段階からご相談いただけます。
7、まずはご相談ください
「相続税がかかるかどうか確認したい」「小規模宅地等の特例が使えるか確認したい」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は一般的な相続税・税制の考え方を解説するものです。個別の税額・特例の適用可否は財産の状況・相続内容・税務署の判断により異なります。実際の対処にあたっては必ず税理士にご相談ください。