京都で相続した家を高く売る方法|損する人との違い
「相続した家を売ったけれど、もっと高く売れたのでは」——そう後悔する方は少なくありません。
一方で、同じような物件でも数百万円の差がつくことが珍しくないのが京都の相続不動産市場です。その差を生むのは「運」でも「物件の良し悪し」でもなく、売り方・タイミング・相手の選び方です。
この記事では、京都で相続した家を高く売るためにやるべきこと、そして損してしまう人に共通するパターンを整理します。「売れればいい」ではなく「できるだけ高く、納得して売る」ための具体的な方法を解説します。

1、損する人に共通する5つのパターン
京都の相続不動産の売却で損をしてしまう人には共通したパターンがあります。自分が当てはまっていないか、まず確認してください。
損する人のパターン① 最初に相談した1社に任せきりにする
「地元の不動産会社に頼んだから大丈夫」と思い、1社だけに任せてしまうケースです。不動産会社によって査定額は数百万円単位で異なります。1社の査定を「市場価格」と思い込み、それより安く売ってしまうのが最もよくある損のパターンです。
損する人のパターン② 急いで「買取」を選んでしまう
「早く現金化したい」「管理が大変だから早く手放したい」という焦りから、不動産会社への「買取」を選ぶケースです。買取は仲介と比べて価格が20〜30%低くなるのが一般的です。時間的余裕がある場合は、仲介を試みてから買取を検討する順番が望ましいです。
損する人のパターン③ 「古いから安い」と思い込んで安値で出す
旧耐震・築50年以上の町家を「古いから価値がない」と決めつけ、最初から低い価格設定をしてしまうケースです。京都の町家はリノベーション需要・インバウンド投資・宿泊事業者など特定の買い手には高く評価されます。誰に届けるかで価格は大きく変わるのに最初から諦めた価格をつけるのは機会損失です。
損する人のパターン④ 税制の特例を知らずに売る
空き家特例(3000万円控除)・取得費加算の特例を知らずに売却し、本来払わなくていいはずの税金を払ってしまうケースです。売却益が2000万円あった場合、特例を使えれば譲渡税はゼロですが、使わなければ約400万円の税負担が発生します。「手取り額」を最大化するには、税制の知識が不可欠です。
損する人のパターン⑤ 空き家のまま放置して期限を過ぎる
「そのうち売ろう」と思いながら空き家のまま放置し、相続から3年目の年末(空き家特例の期限)を過ぎてしまうケースです。期限切れになると節税の機会が永久に失われます。建物の劣化が進むほど売却価格も下がります。放置は「高く売る」と真逆の選択です。

2、高く売るための準備|売却前にやること
高値売却を実現した方に共通するのは「売り始める前に準備を整えていた」という点です。準備なく売り出すと買い手の信頼を得られず、値引き交渉に負けやすくなります。
売却前にやるべき5つの準備
- ①複数社への査定依頼(最低3社):まず3社以上に査定を依頼し、価格帯の幅と各社の根拠を比較します。最高値に飛びつくのではなく「なぜその価格か」を説明できる会社を選ぶことが重要です
- ②登記・権利関係の整理:売却前に相続登記を完了させ、名義を明確にします。共有相続人がいる場合は全員の売却同意を取り付けておかないと売却途中でトラブルになります。抵当権が残っている場合は抹消手続きも必要です
- ③建物の状態を記録・整理する:掃除・片付けを行い内覧の準備をします。町家であれば梁・格子・坪庭など、京都らしさを感じさせる部分を写真・動画で記録します。「古い」より「京都らしい」という印象を伝える準備が価格に影響します
- ④インスペクション(建物状況調査)の検討:専門家による建物調査を行い現状を客観的に示すことで、買い手の過剰な不安を和らげます。値引き交渉を抑制する効果があります
- ⑤税理士への事前相談:売却前に税理士に相談し、空き家特例・取得費加算のどちらが有利かを試算してもらいます。税額の差が数百万円に上るケースもあるため、売却活動を始める前に必ず確認してください
3、京都の相続物件が高値になる理由と買い手層
「古い家だから安くしか売れない」と思われがちな京都の相続物件ですが、正しい買い手に届ければ一般的な相場より高値になるケースが多くあります。
① リノベーション需要の買い手
建築費高騰の影響で「新築より中古をリノベーション」という選択が広まっています。現金購入できるこの層にとって、旧耐震の町家も「安く買ってリノベーションできる物件」として魅力的です。梁・格子・坪庭などの京都らしい要素が残っている物件は高評価を受けやすいです。
② 宿泊施設・観光関連の事業者
観光エリア近接の町家は、簡易宿所・ゲストハウス・料理屋・ショップとして活用したい事業者・投資家の需要があります。路地奥の「隠れ家感」や「京都らしさ」はむしろ差別化要素になり、一般住宅としての市場価格より高い評価を受けることがあります。
③ 隣地の所有者
路地奥・再建築不可物件が最も高値で売れる相手として隣地の所有者が挙げられます。隣地と合筆することで接道要件を満たせる場合、その土地は隣地所有者にとって通常以上の価値を持ちます。諦める前に必ず隣地への打診を試みることをおすすめします。
④ インバウンド投資家・富裕層の外国人購入者
海外からの富裕層・投資家は現金購入が多く、「京都の路地奥の一軒家を持つ」というプレミアム感を価値として認識します。円安の影響もあり、外国人による京都の歴史的建物・町家への購入関心は依然高い水準にあります。
これらの買い手層は一般的なポータルサイトからは問い合わせてこない層です。専門的なネットワークと発信力を持つ会社に依頼することで、高値をつけてくれる買い手に情報が届きます。

4、不動産会社の選び方で結果が変わる
高値売却を実現できるかどうかは、依頼する不動産会社選びで大きく左右されます。どの会社でも同じ結果にはなりません。
「高く売れる」会社の見極め方
- 京都市内・相続物件の売却実績があるか:「相続した町家・路地奥物件・旧耐震物件の売却実績があるか」を具体的に確認します。実績がある会社は買い手ネットワークと交渉経験が違います
- 査定額に根拠を説明できるか:「この価格で売れる理由」を具体的に説明できる会社を選びます。根拠のない高値査定を提示し後から値下げを促す会社は避けてください。査定額の高さだけで選ばないことが重要です
- 投資家・事業者への売却ルートを持っているか:ポータル掲載だけでなく、リノベーション投資家・宿泊事業者・隣地所有者など独自の買い手ルートを持っているかを確認します
- 税理士・司法書士との連携体制があるか:相続不動産の売却は税務・登記の専門知識が不可欠です。税理士・司法書士と連携できる会社であれば手続きをスムーズに進められます
仲介と買取の使い分け
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格の目安 | 市場価格(高値が期待できる) | 市場価格の70〜80%程度 |
| 売却までの期間 | 平均3〜6ヶ月 | 数週間〜1ヶ月程度 |
| 確実性 | 売れない可能性もある | 確実に売れる |
| 向いているケース | 時間的余裕がある・高値を優先したい | 早期現金化が必要・管理困難・期限が迫っている |
基本的にはまず仲介を試み、一定期間で買い手が見つからない場合に買取を検討する順番が、手取り額を最大化するうえで合理的です。ただし空き家特例の期限が直前に迫っている場合はこの限りではありません。
5、税制の特例で手取りを最大化する
同じ価格で売れても税制の特例を使うかどうかで手取り額が数百万円変わります。「売却価格」だけでなく「手取り額」を意識することが本当の高値売却です。
空き家特例(3000万円特別控除)で手取りを最大化する
親が生前に住んでいた家を相続し空き家のまま売却する場合に譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。旧耐震基準(1981年5月31日以前建築)の物件が多い京都の相続不動産では、この特例が使えるケースが多くあります。
- 期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 売却価格の上限:1億円以下
- 建物の条件:耐震改修して売るか、取り壊して売ること(2024年以降は買主が引渡し後に取り壊す場合も可)
- 賃貸中は使えない:賃貸に出した期間は対象外です
取得費加算の特例との比較
相続税を納付した場合、相続税額の一部を取得費に加算して譲渡所得を圧縮できる「取得費加算の特例」も使えます(相続開始から3年10ヶ月以内の売却が条件)。空き家特例との併用は原則不可のため、どちらが有利かを税理士に試算してもらいましょう。
「手取り額」の計算イメージ
| ケース | 売却価格 | 控除 | 手取りの目安 |
|---|---|---|---|
| 空き家特例あり | 3,000万円 | 3,000万円控除 | 約3,000万円(税ほぼゼロ) |
| 特例なし | 3,000万円 | なし | 約2,400万円(譲渡税約600万円) |
| 特例なし・安く売った | 2,500万円 | なし | 約2,000万円(譲渡税約500万円) |
同じ物件でも、特例を使うか否かで手取り額に最大600万円以上の差が生じることがあります。「いくらで売れるか」と同じくらい重要な判断です。

6、売るタイミングと期限の考え方
「高く売る」ためにはタイミングも重要です。ただし不動産市場のタイミングを読もうとするより、税制の期限を軸にタイミングを決める方が現実的で確実です。
タイミングの考え方
- 空き家特例の期限を最優先にする:相続から3年目の年末という期限は最優先で守るべきタイムラインです。「市場が上がるのを待つ」よりも、特例期限内に売る方が確実にトクです
- 売却活動には時間がかかる:仲介による売却は平均3〜6ヶ月かかります。特例期限まで1年を切っているなら今すぐ売却活動を始める必要があります
- 建物の劣化は値段を下げる:空き家のまま放置した年月が長いほど買い手の印象が悪くなり、値引き交渉の口実になります。先送りが売却価格を下げていることを認識してください
- 京都の不動産市場は比較的安定している:観光都市としての需要・外国人投資家の関心から、京都市内の不動産価格は全国的に見ても安定しています。「大幅に上がるのを待つ」より現在の相場で早期売却して節税する方が手取りは大きくなることが多いです
7、判断チェックリスト
高く売るための準備チェック
- 相続開始日と空き家特例の期限(3年目年末)を確認したか
- 最低3社以上に査定を依頼し、価格と根拠を比較したか
- 相続登記は完了しているか。共有相続人全員の売却同意はあるか
- 建物の掃除・片付けを行い、内覧の準備ができているか
- 税理士に空き家特例・取得費加算の試算を依頼したか
- 隣地所有者への売却打診を検討したか(路地奥・再建築不可の場合)
- 投資家・事業者への売却ルートを持つ会社に依頼しているか
| 損する人のパターン | 高く売る人がやること |
|---|---|
| 1社だけに任せきりにする | 最低3社に査定依頼し、根拠と買い手ルートを比較する |
| 焦って買取を選ぶ | まず仲介を試み、時間的余裕をもって進める |
| 「古いから安い」と思い込む | リノベーション投資家・事業者など独自の買い手に届ける |
| 税制の特例を知らずに売る | 売却前に税理士に相談し、手取り額を最大化する |
| 空き家のまま放置して期限を過ぎる | 期限から逆算してスケジュールを立て、早めに動き出す |
まとめ
高く売るための5つのポイント
- 損のパターンを知り、同じ失敗をしない:1社任せ・買取への安易な誘導・古いからと諦める・特例を知らない・放置による期限切れ——これらを回避するだけで結果が変わります
- 売却前の準備が価格を決める:複数社への査定・登記の整理・建物の記録・税理士への事前相談——この準備を売り出す前に完了させた人が高く売れています
- 京都の物件には独自の買い手がいる:リノベーション投資家・宿泊事業者・隣地所有者・インバウンド富裕層——この層に情報を届けることが高値の鍵です
- 手取り額を最大化するには税制の知識が必要:空き家特例・取得費加算——税制の使い方の差が売却価格の差より手取りに影響することがあります
- 期限から逆算してスケジュールを立てる:空き家特例の期限を軸に、今すぐ動き始めることが「高く売る」への最短ルートです
「高く売るにはどうすればいいか」という段階からご相談いただけます。査定・買い手探し・税理士との連携まで一緒に進めます。
8、まずはご相談ください
「相続した家をできるだけ高く売りたい」「査定を依頼したい」「路地奥・町家の売却を相談したい」——まずは現状をお聞かせください。

※本記事は一般的な不動産・税制の考え方を解説するものです。個別の査定額・税額計算・特例の適用可否は物件の状況・行政の判断等により異なります。実際の対処にあたっては必ず不動産会社・税理士等の専門家にご相談ください。