京都で相続対策を始めるなら何歳から?今すぐ始めるべき5つの理由
「相続対策はまだ早い」と思っておられる方は多いものです。ただ実務の現場で感じるのは間に合わなかった、というご相談が少なくないということです。
相続対策は時間を味方につける性質のものです。この記事では年齢の目安と、早く始める理由を整理します。

1、何歳からが目安か
制度の面から見るとひとつの区切りは60歳です。
年齢が関わる制度
- 相続時精算課税:贈与する側が60歳以上(もらう側は18歳以上)
- 暦年贈与:年齢の制限はありませんが年数の積み上げが必要
ただ実務的には年齢よりきっかけです。退職された、親御さんが入院された、ご親族の相続を経験された——こうしたときが考え始める時期になります。
お子さん側から動くこともあります
親に「相続の話をしたい」と言いにくい、というお気持ちはよく伺います。ただお子さんが40代になったころから、少しずつ話題にしておくご家庭もあります。「不動産がどこにいくつあるか」を把握するだけでも、前に進んだことになります。
2、理由① 贈与は効果が出るまで時間がかかる
生前贈与でよく使われるのが年110万円までの非課税枠(暦年贈与)です。ただしこれには相続の直前の贈与は相続財産に戻して計算されるというルールがあります。
加算される期間(相続開始の時期による)
| 相続開始 | 加算される期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から死亡の日まで |
| 2031年1月1日以降 | 相続開始前7年以内 |
加算期間が3年から7年に延びていきます
従来は「亡くなる3年前までの贈与」が加算対象でしたが段階的に7年へ延長されます。つまり贈与してから7年を超えないと、相続財産から完全に外れないということです。早く始めなければ効果が出ない、という構造になりました。
10年あれば選択肢は広がります
年110万円の枠を10年使えば1,100万円。7年ルールを考えても十分な年数を確保できていれば贈与の効果は残ります。一方で、数年しか時間がなければ効果は限られます。「あと何年あるか」が結果を左右するのです。
※経過措置として、相続開始が2027年1月2日以後の場合、3年以内以外の部分については総額100万円まで加算されない扱いがあります。

3、理由② 京都の路線価は上がり続けている
相続税の計算では土地を路線価で評価します。この路線価が上がれば同じ土地でも評価額が増え、税額も増えます。
2026年の京都府の路線価(住宅地)
| エリア | 坪単価の目安 | 前年比 |
|---|---|---|
| 京都府平均 | 38.4万円 | +3.3% |
| 上京区 | 124.8万円 | +5.6% |
| 中京区 | 100.9万円 | +4.7% |
| 東山区 | 90.8万円 | +8.3% |
※民間の集計による目安です。商業地は府全体で前年比+10.6%とされています。
「待てば下がる」とは言えません
京都市中心部は観光や投資の需要もあり、地価が堅調に推移しています。相続の時期が遅くなるほど評価額が上がり相続税の負担も重くなる可能性があります。地価の先行きは誰にもわかりませんが「下がるのを待つ」という戦略は取りにくいのが現状です。
なお相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。京都市内に土地と家があれば、この範囲を超えることは十分にあります。
4、理由③ 判断能力が失われると動けない
これがいちばん切実な理由かもしれません。
認知症になると契約ができません
不動産の売却、贈与、遺言の作成——いずれも本人の判断能力が前提です。認知症などで意思能力が失われるとこれらの手続きができなくなります。成年後見制度を使う方法はありますが自由に処分することはできません。
「売れない家」になってしまうことも
名義人であるお父さまが施設に入られ意思の確認が難しくなってから売却のご相談をいただくことがあります。ご家族の意向だけでは売れないため、手続きが止まってしまいます。元気なうちに方針を決めておくことの意味はここにあります。
施設への入居費用を不動産の売却で賄おうと考えていたのに、その売却ができない——という事態は実際に起こります。
5、理由④ 京都の不動産は分けにくい
京都特有の事情です。現金なら分けられますが、不動産はそうはいきません。
京都でよくある「分けにくい」形
- 京町家:建物に価値があり、切り分けられません
- 狭小地・間口の狭い敷地:分割すると使えなくなります
- すでに共有名義:持分がさらに細分化していきます
- 借地・貸地:権利関係の整理に時間がかかります
共有は世代をまたぐと収まらなくなります
共有名義のまま相続が重なると権利者が増え、連絡が取れない方も出てきます。売るにも全員の同意が必要で、手続きが進みません。共有の状態は、早い段階で整理しておくほうが結果的に家族の負担が軽くなります。
「どう分けるか」は不動産の価値を知ってから
分け方を考えるにはまず不動産がいくらで売れるのかを把握することが出発点になります。評価がわからないまま話し合っても、公平かどうかの判断ができません。査定は相続対策の最初の一歩といえます。

6、理由⑤ 空き家になると選択肢が狭まる
誰も住まなくなった家は時間とともに売りにくくなります。
空き家のまま時間が経つと
- 傷みが進み修繕費か解体費が必要になります
- 管理の手間と費用がかかり続けます
- 住まなくなって3年を超えると使えなくなる税の特例があります
京都市では空き家への課税が予定されています
京都市は非居住住宅利活用促進税(いわゆる空き家税)の導入を予定しており令和12年度(2030年度)からの課税開始とされています。市街化区域内で生活の本拠として使われていない住宅が対象です。空き家を持ち続けることのコストが上がる方向にあります。
住んでいるうちに考えておく
空き家になってから対策を考えるのではなくまだ住んでおられるうちに「この家をどうするか」を話しておくことが結局は近道です。売る、貸す、住み継ぐ——どの道を選んでも、準備の時間があるほど条件は良くなります。
7、誰に何を相談するか
相続対策はひとりの専門家で完結しません。役割を知っておくと動きやすくなります。
相談先の整理
| 内容 | 相談先 |
|---|---|
| 相続税の試算、贈与の設計 | 税理士 |
| 遺言、名義の整理、登記 | 司法書士・弁護士 |
| 不動産の価値、売却・活用 | 不動産会社 |
まず「いくらか」がわかると話が進みます
税額の試算にも、分け方の相談にも不動産の価値がわかっていることが前提になります。クラベストでは売却した場合の見通しをお伝えするところからお手伝いしています。すぐに売らなくても構いません。数字がわかれば、税理士や司法書士への相談も具体的になります。
税務・法務の判断は専門家へ
当社は不動産の売買を扱う会社です。税額の計算や遺言の作成といった判断は、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。必要に応じてご紹介もいたします。

まとめ
押さえておきたいポイント
- 目安は60歳、ただし年齢よりきっかけ:退職や親族の相続が考え始める時期です
- 贈与の加算期間は7年へ延長:時間がなければ効果は限られます
- 判断能力が失われると動けません:元気なうちに方針を決めておきます
- まず不動産の価値を知ることから:数字がないと分け方も決まりません
将来に向けた見通しの整理からお手伝いします。
8、まずはご相談ください
「将来のために価値を知っておきたい」「家族で話す材料がほしい」——お気軽にどうぞ。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとにした一般的な解説です。路線価は民間集計による目安であり、実際の評価は個別に算定されます。税制・条例は変更されることがあり、相続税や贈与の取り扱いはご家庭の状況により大きく異なります。具体的な判断は必ず税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。